Long Shot/ホロウ・シカエルボク
 
せる程度だった
ふと、そう、ときどき
おれは画鋲なのだと、そう思うことがある
いつ押し込まれたのかある地点で
両足を埋めて直立している画鋲なのだと


ポイントされた理由は思い出せない
いつか、だれかが、なんらかの目的でもって
おれを使ってそこをポイントしたのだ
おれ自身にこころ当たりがない以上
だれかの所為だと思うしかないじゃないか




二時間が過ぎて
すっかり暗くなったころ
おれはその理由に気付いた
「ここから撮影してください」
マーキングされたそこから眺めるスクランブルは
巨大なカレイドスコープのようにせわしなく回転していた



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