なみだ/塩崎みあき
 

変えてゆくが
墜落の
果てにあるのは
柔らかく
暖かい
借家のベッドだった
それで
なんだかよくわからなくなって
思わずなみだした

自由がガラス玉のように
固くなって
傍らに堕ちていたので
手ですくいあげて
思わずなみだした

空に小さい穴が開いていて
そこから
季節が見ていたので
手を振ったら
どこかに行ってしまって
思わずなみだした

彼らがまだ未分化の
卵だった頃
彼らは
彼らの
空を渡っていた

液体の中の
七色の反射光
手を伸ばしたら
消えてしまった

空に堕ちる夢だった


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