ノート(入学式)/木立 悟
道端の一本の木に
子どもが何百人も隠れていた
東の方から来たのだという
水がほしいというので
水をあげていたら明け方になった
狭い場所と
大きな音が嫌いだというので
誰もいない原に行って
月と木星と金星の下で
入学式をした
みんな
草と滴の門をくぐって
笑いながら歌いながら
ひとりひとり昇っていった
名前と飾りを原に置くと
子どもらが去った方から朝になった
騒がしさを増す道の上で
歌を抱えたまま泣いていた
幾度でも 朝は来て
雨の午後 鳥は飛び
夕べには 羽の降る
夜の手よ 微笑みよ
ひかり こがね みちて
ひかり こがね みちて
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