六月の背中/草野春心
 
  

  なにもかもが縺れた朝に
  六月が
  しくしくと雨を浴び
  痛い痛いとさけんでいる



  犯罪者もペテン師も
  愛しきも憎きも
  背に負って
  痛い痛いとさけんでいる



  のうのうと生きる僕らと
  頑丈に生きる彼らと
  存在はただそれだけで
  空間を傷つける刃だ



  だれもかもが嗤う朝に
  六月が雨を浴び
  痛い痛いとさけんでいる
  僕らのかわりに






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