クシャクシャの一万円/月山一天
 
ちた気がする。
そうカッコ付けて言うと、
そんな哲学的な事を言われても良くわかんないよ。
そう言ってあなたは
立ち上がって財布から一万円を取り出す。
くれるのかと思ったら、いきなりそれを手でグチャグチャ鼻をかんで、足でゲシゲシして、
ボロボロのみすぼらしいそれを、私に掲げると、

「一万円は、どんな格好になっても一万円だ。」

そう言った。

帰り道、

暖かいあなたの肩に捕まりながら、

クシャクシャな私は
クシャクシャのまま
生きて行こうと思った。




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