クシャクシャの一万円/月山一天
「もう一年早ければ、受験できたんですがねぇ。」
そういった試験管はかなり嬉しそうに笑った。
新卒の22歳より、
数年分賢くなったわたしはいらないのだそうだ。
バス停であなたを待つ間、
目の前の蟻の行列を片っ端から散らかして、
何百匹もの犠牲が出た所で、
やっとあなたはキーキー自転車を漕いで来た。
冗談じゃないわよ。なんでこの歳にもなって立ち乗りしないといけないのよ。
そう言ったら、私の隣に自転車停めて
派手にやったなーと頭をカリカリ、
隣に座る。
「しわくちゃのおばちゃんは取らないんだって。」
「若い子の方が覚えが早いんだって。」
人生のドアが崩れ落ちた
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