天国へのエスカレーター/北大路京介
 
ですけど。」

『はねられたんですよ。』

「そっかー。 あぁ、やっぱり はねられたかぁ。」

『ドーンって。。。』

「ドーンの間、全然覚えてないです。」

『そういうものなのでしょうね。』

「はぁ。 ところで、このエスカレーターを逆走したらどうなるんですか?」

『生き返れますよ。 まだ身体は、意識不明の重体で生きてますから。』

「ホントに? じゃぁ、がんばって走ってみます!」

『けっこうスピード速いでしょ。 戻りきるのは大変ですよ。』

「降りても降りても、前に進めない。 はぁ はぁ はぁ 。」

『なにか やり残したことがあるんですか?』

「どうしても。 どうしても最終回まで読みたいマンガが。。。」

『むこうでもマンガ読めますよ。』


 彼は 逆走をやめた。

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