天国へのエスカレーター/北大路京介
『おや 気がつかれましたか。』
「はぁ。」
『まだ眠っててもかまいませんよ。』
「はぁ ん〜 とても長いエスカレーターですね。 」
『そうですね。』
「先が見えない。 こんな長いエスカレーター初めて見ます。」
『そうでしょうね。』
「ここは、どこなのですか?」
『あの世に続くエスカレーターです。』
「はぁ。 あの世ですか。 あ、あの世? えっ あの世?」
『そうです。 あの世。』
「あちゃー 死んでしまいましたか、わたし。」
『覚えてないのですか?』
「んー トラックに はねられそうになったところまでは覚えてるんです
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