パンの角/はるな
 

酩酊する鳥、踊り狂う爪、剥がした謝罪と月明かりの弓、オレンジ色のケースとそこに収まるグラス、腕まくりした腕の傷、傷跡に群がる蟻たちと、すっぱい緑色、ひざまずく、俺はひざまずく、すべての信仰と薄まったビールに跪く、踵の高い靴を履いた若い女たちが行く、笑っている笑っている、白い白い笑顔、開け放した窓、窓からの景色は蕩けてゆく、その合間に見せる憂い、たなびく警鐘、思い出の戸棚、仕舞われた殺意、笑っている笑っている笑っている笑っている、小説のワンフレーズのように花が笑っている。

俺は線を引く、お前たちは線を引く、あらゆる人々があらゆるやり方を用いて線を引く、長い長い線を引く、気の遠くなる思い出が
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(2)