ハネの折れた扇風機が雨にぬれいた/
蒼木りん
玄関に
何も言わず
骨の折れた傘がたたまれていて
物にも心があるんですよ
という私が
心なんだ
ハネの折れた扇風機が雨にぬれいた
あなたの母が使っていた扇風機
ハネをとりかえて
まだ使うと言っていたのに
あなたに
私を救うことは
永遠にできないのに
晴れたら
こころが重くなり
曇れば
ため息をつく
雨風が吹けば
厄介だと思い
それでもだまって
生きていく
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