飛ぶ鳥,落ちる鳥(鋭角と季節のはじめ、台風の間)/はるな
ありません.わたしが入ってくることを望むとき、わたしに入ってくることを望む人間がいなければそれは叶えられないし、わたしが入ってくることを望まないときであっても、わたしの願望とは関係なく入ってくるものは入ってくるのだから.わたしに出来ることは、可能な限りその開閉を自分の意思と結びつけることです.それよりほかに手立てはありません、また、これはドアーに限ったことではないのかもしれないと、近頃では考えるようになりました.
窓からは明かりが見られるようになります.そうです.それが夕暮れです.ときたま開いている窓の近くを通り過ぎると、ささやかな煮炊きの音と匂いを得られます.背骨をゆっくりと温められるよう
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