壊れた携帯電話のキーを狂ったように叩け/竜門勇気
 
針が往復ではなく回転していることに気づく
激怒の失せた後の笑い顔
やはり君は余所者にはなれない
誰かと手をつないでいるといいだろう
真っ昼間に街を歩いていて
覚醒の中でまた覚醒する事はないか
夢の中で夢を見るように

昨夜の残飯は百年後にまた食卓へのぼる
幻想以外の場所では
僕はそれを口へ運ぶことはない
幻想の代わりにワイングラスを覗き込め
ゆらゆら揺れたら合図だと思え
針の上で見えないダンスを見るだろう

壊れた携帯電話のキーを狂ったように叩け


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