蛇の消えた家/和田カマリ
ロボロになった
重機がやって来て
家を破壊した
立ち込める粉塵
土を隠すもの
何も無くなり
更地になった
トラックから
大工達が降り始め
また家を建てる
次第に出来ていく
自分の家を眺め
オーナーはご満悦
竣工の日
大工の棟梁は
式を中座し
彼だけが知る
秘密の換気口をぬけ
屋根裏に向かった
ポケットから
小さな球体を取出し
こっそりと置いた
新しい蛇が生まれる
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取引先の社長が飛んでしまいました。
最近、僕は社長の家から出て行く、
大きな蛇を見たばかりでした。
ヌシ?
だったのでしょうか。
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