メロン/草野大悟
 
だれが落としたんだろう
道のまん中に ど〜んと立って
いきかう車を
にらみつけている。
すり傷の鼻が
もち主を捜索しているのだ。

朝陽がさすころ その生首は
テーブルのうえで ごろん ごろん と
    食べごろ
を主張するふたつのメロンに なっていた。

ふたつは 口をそろえて(口があるかどうかはしらないが)
    わたしたちの持ち主は
    やっぱり あなただったのね
と 恨みがましく言うけれど
おれ的には
   生首はふたつもいらないし
ちょっとばかり考えさせられる問題ではあったのだけれど
そう悩むこともなく ただ
   一個を喰うこと
で、この問題は
あっけなく解決し、
残ったひとつを
いまのかぼちゃ頭と交換して
マスクメロン頭のおれが
どうやら 
完成したのだぞ。

 


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