生物屋の彼女/士狼(銀)
ださい。
生物屋の彼女は甘えるのが下手だ、とぼくは思いたい。彼女が言うには寂しさの閾値が違うらしいのだが、感情にすら理由をつける彼女は理系なんだと実感する。彼女のセリフを借りるなら『寂しさの閾値は君より高いかもしれないけれど、哀しみの閾値はきっと随分低いわ』。(ぼくはいつだって君に触れていたいのに。)
生物屋の彼女は、脆い。ソファーに並んで座りながら体育座りの彼女を横目で見る。彼女はよく『頭と踵がくっつくように背骨が折れる』想像をするらしい。想像だけでも痛そうだな、と思っていたらやっぱり、彼女は珈琲を啜りながら顔をしかめていた。それぐらいの罰がなければ採算が取れないかしらね、気
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