彼の結婚式/……とある蛙
 
ところで、彼の結婚式なのだが、
参列者は三,四人か
披露宴をどうするか
めでたい宴の陰に
猫の眼のような
光を帯びたクレパスが
ぱっくり口を開けている。

皆口々にお祝いを言い
いくらか多い人数の披露宴
食べ物では無い巨大なケーキが
必要以上の蝋燭の輝きを伴い
憂鬱な二人の人生の道行きを照らしている。

宇宙の一部としての結婚式なのだが、
自然の一部としての結婚式なのだが、
歴史の一部としての結婚式なのだが
誰の記憶に残ろうか

彼はケーキの前で座ってしまった。


それから


年老いて二人は
特に妻になった一人は
ただ悔いる
昨日も悔いる
今日も悔いる
きっと明日も悔いる
あの時が
ちょっとした気の迷いだと
断じて疑わない信じて疑わない一人。 

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