「 消さないで 」/椎名
 
ところどころ紅葉が始まった並木道は

それはそれは色とりどりで美しい

そこから木漏れ日が射しこむ様は

夢のトンネルの中を進むみたいで

ハンドルを握る手に

更に意識を集中しながら

見とれる



アスファルトの上を落ち葉が乱舞する

言葉では言い尽くせない素晴らしさ

こんな瞬間を

心の中に留めておきたくて





夏の間の燃える想いも

季節が変わり

少しずつ色褪せていくように

木々の葉が色を変えていく

そうして舞い落ちる

それが風に巻き上げられ踊り狂う



これが最後

今年は最後

そんなふうに聞こえてくる

木々のざわめき



消さないで

燃える想い

心の中に

いつまでも留めておいて

色を変えずに




戻る   Point(3)