長いおかわり/花形新次
ンと香ばしい匂いが漂ってきた。僕がその匂いの元を確かめるために、顔を左に向けようとしたとき、今度は右の首筋にひんやりと金属の当たる感触がした。
そして左の耳元では、食べ物を咀嚼する音に加えて、ミョギーの乾いた小さな声が聞こえた。
「今、左を向いちゃあ、いけねえよ、ゴックン。サバイバルナイフの餌食になるぜ。」
ミョギー、僕の塩サバ定食が食べたかったんだね。言ってくれればよかったのに。
ミョギー・・・・・・。
本当に別れなければならないとき、人はさよならを言わないものだ。
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