河口/yuko
スカートを翻して
電車に乗る
制服はわたしを
嵌めこんではくれないし
だからってあなた
放してもくれない
目を伏せて箱の中
景色が流れていく
投げられたくしゃくしゃの
ルーズリーフに
書かれた文字列が
読めなくて
それが血だということも
傷口の場所も
よく
わからないのでした
目に見えないものは
どこにもないのだと知った
から黒板を白線で
裂いていく
指先とチョークが削れて
(海だ、)
あなたの視線は
わたしの
どこを見ているんですか
生まれたときの記憶が
ないからきっと本当は
途中から始まったのだと思っていました
ねじまげ
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