義父は戦場へ行った/壺内モモ子
 
義父は戦場へ行った。

避難所で生活する人々が
早くいつも通りの生活に戻ることができればと
戦場へ行った。

義母や主人は「もう若くないんだし、何かあったら」と反対したが

「私は、この仕事でお前たちを食わせてきた。
 しかし、最悪のことが起こったら
 私の仕事でお前たちを死なせてしまうかもしれない。
 そうなるのは、とてもとても、辛い」

そう言い、戦場へ行くことを決めた。

義父が戦場へ行ってから、1ヶ月が過ぎたが
義父は帰ってこない。
時々、電話がかかってくるが
とても元気そうで、その度に、少しだけ安心している。

戦場で何が起こっているのか、わからないけれど
どうか、無事に帰ってきて欲しい。

これから暑い日が続くけど、日射病には気をつけて。
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