Picnic/高梁サトル
 
昼下がりにお弁当を持って出かけよう
どこまでも続く碧い草原で
スコップを持って半歩先を進む
木の下に何かが埋まっていると信じているのだろうか
あるいは花の下に

机の下で小さく丸まって眠っていた
「ママなんて死ねばいい」と言う
おまえが
なにより母親を求めている後姿に
ひっそりと呟いた

(ママって呼んでみるかい)いいよ)
(ままごとするかい)望むなら)
(そうしたらおまえは行くかい)(何処へ?)

望む場所には辿りつけないよと
悲しい顔をする
どうしてなんだろう
こんなに空は晴れて
小鳥は囀り風は木々を撫で
すべてはやわらかさに包まれているというのに

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