必要と快楽/シャドウ ウィックフェロー
ひとにとって
飲み食いは、必要であり快楽でもある。
と書きだして、交合は必要であり快楽でもある、とちらっと思った。
それはともかく、
旨いものほど、あっという間に喉を過ぎるのはどうしてだろう。
じっくり味わえば良いのに。むしろ急いで飲み下して、味覚のない消化器へ送りたがっているようにさえ思える。
舌でさわり、歯で噛みしめるや、慌ただしく口の中を転がし、待ちきれずに喉へ送る。
快楽は発生し、消滅し、その空白はさらに快楽を求め、つかのま満たされ、満たされると同時に消滅し、さらに求める。
尽きることのない欲望。
ビールの喉ごしのように。快楽は過ぎ行くこと、そのもののうちにある。
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