家/たもつ
イエーイ! 家
俺らのため息というため息 体毛という体毛 のすべて
には窓が取り付けられている 家
窓という窓には俺らの手形
という手形にも窓
ところどころは出窓として取り繕っております
イエーイ!
お涙頂戴 俺らが生きていくために必要な涙をくださいませんか
柱の一本一本 床板の一枚一枚が涙で出来ている
築ニ年の木造住宅なのです
通勤靴に踏まれながらも 靴下を履き続けようとする 家
バスの圧力に屈しそうになりながら なおもその存在 家
階段を降りる階段 クローゼットで待つクローゼット
家を出る家 家に入る家
イエーイ!
床屋のサインポールに朝から話しかけ
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