笑うカスタネット/m.qyi
ントに籠もる咳払い 秋の夜長の神経衰弱
球場の泥にまみれた六十余年 折って重ねてどうにか壷へ
三回忌 ビールを注げば割り箸でニッポンの夜を照らす神様}
こういう描写は、それが内心の印象や、過去の事実を織り込んではあるかもしれないが、
目の前に映る情景のデッサンだ。そこに、面白さがあるとも言えるかもしれないが、これ
らの作品の良さはそういう単純な面白さではないと思う。なぜなら、石原さんは決して第
三者を眺める事などしていないだろうというのが上述した僕の理解だ。この「法事」の作
者である石原さんは観察者でもるが、観察している対象は同時に法事に参加している石原
さん自身でもあるのだと僕は
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