電脳港/月音
っちまうからな
もう このごろは 部屋にいたって 世界中のもんが 手にはいる
俺たちもさあ 乗り遅れちゃいけねえって
寄り合いたちあげてな どうにかしようって
流れは もう 随分と前から ここまで 来ていたわけで
電話線に繋がって 日本も狭くなったわけだ
潮のかをりは 雨にまじって じっとりと肌の産毛を濡らす
あの日すれ違っていた 箱詰めの魚とコンクリートのかけら
注文の品は 間違って配送されたのだろう
眠らされた少女も 知らぬ海の底 魚市場の声を聞く
片田舎の港町
こりもせぬ電波は その後も続いていたと
そして同じ頃
見も知らぬ彼が キーボードを叩く
お手元に届く 訪れたことのない港の加工品
商品番号 017
波音も届かない 窓の中で 海が飽和する
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