朝の気配/朧月
 
ずっとのぼっていた
ゆるやかな坂道だった
笑ってはいたが 少しづつ息は苦しかった

歩みはとめなかった
押されているようでとまらなかった
胸はなぜかほんの少しどきどきしていた

薄いベール/透明な を
くぐったようでもあり
かぼそい線を踏み越えたようでもあった

そこが峠であったのか
空気がやさしくなり
顔をあげたらそこはもう
朝だったんだ

小さく音と一緒に
気配が動き出し
カーテンがゆれて
私の部屋にたいようが射し込んだ

ああだれの上にもこうして
朝はくるんだね


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