ほんとうの真夜中の在り方は知らねえ/ホロウ・シカエルボク
のさ
たったひとりだけで歩道を鳴らす
靴音こそが真実なのかもしれないんだって
いつか考えちまったからに
他ならないせいなのさ
誰も歩いていないときの
壁や床はよく喋りやがるね
少し温度が変わる度に
小姑みたいに敏感によく喋りやがるねぇ?
あんたはさ、誰彼が居ないと遊ぶことも出来ない子供のようなやつなんだから
これ以上言葉を漁るのはよしなよ
これ以上自分の話を
すべてみたいに語るのはやめておいた方がいいよ
誰の知ってる真夜中もきっと明るすぎるとしたものだから
すべての明かりが消えてもきっと
窓からなにかが部屋を照らしてるものなのだから
なにか、そう、隠れきった不文律みたいな
不思議な成り立ちの調整が行われなければ
誰もがきっと眠りを求めないものだから
誰もがきっと明日を求めないものだから
かすれた喉に水でも流し込んで
潤うのを待つ間に新しいいざこざを片付けるのさ
不具合が立て続けに起こる方が
そんな夜には退屈しないでいられるというものさ
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