今や昔のこと/番田 
 

発せられた言葉は
新しい意味など示さなかった
そして いつまでも そこに
言葉は確かに存在した


人は どこまでも歩きまわった
何もないこの荒廃した世界の中で
一日の食べ物を 求めては
見えない街を 目指して 歩いた


風はいつまでも吹いた
いくつもの嵐も 突然そこにやってきた
海は 暴力的に 荒れ狂い
子供が 小さな空き地を 逃げ回った


そうして時はどこまでも 流れた
子供は歌を語りつないだ
人は 命を そうして 守った
しかし 過去の悲劇は忘れさられた


小さな家を建造しては
街は 巨大な人の流れを生み出した
立ち止まる瞬間など忘れ去られた
この 流れる 長い時代のどこかで



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