わすれないよジューン・ブライド/有村
あるはずのその「本当」に目を向けるのがこわかった、ちいさなわたし
あんなにも愛おしかったものたちが、並んでゴミ箱に落ちていく
言葉にしたとたんに消えた想いも、言葉にできないままの不格好なおもいも、そのうちに見えなくなって
わすれてしまった
もうあの頃の私がどこかへ行ってしまったんだ
逃げるように隠れてしまった
するすると溶けて、ちいさなわたしが離れて、ゆっくりと、離れて、見えなくなった
そうか、そう、私は、ちいさなわたしを、なくしてしまった
後ろを振り向くと、奇麗なわたしが、わたしをおもって、泣いていた
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