扉/きりえしふみ
 
(かいな) その腕(かいな)の底のない程の深み

 見捨てたのはお前……ではなかった
 逃げ出しかったのはお前……の方ではなかった

扉の向こうで 今もお前は
私を見ている
私を焦がれている
抱えきれないものに埋もれて

手を尽くすことで
もう一度その扉を開けたなら
今度こそ 私は
扉の向こうの住人となろう
そして帰りの言葉こそ捨て置こう

(c)shifumi kirye 2011/05/14

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