ケ・セラ・セラ/高梁サトル
うから勝手に
やってくるものなのだと
、カリリ
呼んでも声も
無い
「おかあさま」
(今でもときどき眩暈がして
(いつまでも産まれない主語たちを
(駆け込んだトイレに流す
目の前のきみの輪郭がぼやけて
慌てて眼球の筋肉を引き締めるのに
もう風景と同じにしか見えない
軸もカテゴリも前頭葉で溶け合って
子供の頃におそろしかった魔法の言葉
“ケ・セラ・セラ”の意味を理解する
遠くから声がしても
振り返えらないで
楽園は永遠にあの頃のまま
大切に保存される
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