湿度計/杠いうれ
 
れることを思う。そしてそれは満遍なく物悲しい。
それぞれが結露してゆく様を、手出しすることを許されない君はどんな顔で眺めるのだろう。
切実そうなら切実そうなほど、息を飲み干したのちの急速な眠気は深さを増す。


それとは別に、昼の簡易な傾眠発作に委せてうっかりゆめを見る。
きょうは水道水中の放射線量が高いから歯磨きはやめなさい、と母親に呼び止められる。
歯ブラシを戻して、何故か寝室の真ん中にあるバスタブに浸かると、当然のように父親が入ってきてまじまじと観察するので、見せつけながらもひとしきり罵倒する。
バスタブのせいで、寝室はひたひたしている。
しぶしぶ出ていった父親の足跡が、絨毯に濃く滲みて乾く気がしない。
持ち込んだ然して美味しくもない紅茶を見て、これも飲めないじゃん、と気付く。
ゆめのなかのわたしも、未明の危うく白いもやを思っていた。




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