テンオアラの嫁/リンネ
セイン溶液にて染色後、カバーガラスを乗せ、顕微鏡観察。巨大染色体を見つけ、わたしは笑う。それをもう一度、繰り返す。唾腺のみを残しほかはすべて除去する。1%酢酸オルセイン溶液にて染色後、カバーガラスを乗せ、顕微鏡観察。巨大染色体を見つけ、わたしは嬉々として目を細めている。さて、これをもう一度、繰り返すのである。
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見えるだろうか。橋の上から見下ろす町並みが、まるで遠近感を失っている。その色合いも、べた塗りの浮世絵のごとくである。ところが私は、この町はおそらく北斎が描いたのだろうと、変に納得してその場を去って行く。
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今はぶよぶよとした丸い女と暮らしている。テーブルの上には
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