悲しいパズルの歌/橘あまね
 
日々
パズルのピースはかわっていく
何が昨日とちがうか
気づくこともなく
うつっていく

定められた正しさのもとで
裁かれて
選別されて
つぐなうつもりで傷をつけあい
悲しみを深め
くらやみにおびえて

それでも生きていかなければならないのなら
きっと、そこに歌が必要です

ほんとうは大事にしたかったのに
痛みの記憶が
僕たちを自由にしてくれないので
大事にできなかったものたちのことを
歌いたいと思う

泣いている子は、僕だけと思ったけれど
ほんとうは
ほんとうに
みんながそれぞれ悲しくて
涙をこらえられない
[次のページ]
戻る   Point(9)