悲しいパズルの歌/橘あまね
日々
パズルのピースはかわっていく
何が昨日とちがうか
気づくこともなく
うつっていく
定められた正しさのもとで
裁かれて
選別されて
つぐなうつもりで傷をつけあい
悲しみを深め
くらやみにおびえて
それでも生きていかなければならないのなら
きっと、そこに歌が必要です
ほんとうは大事にしたかったのに
痛みの記憶が
僕たちを自由にしてくれないので
大事にできなかったものたちのことを
歌いたいと思う
泣いている子は、僕だけと思ったけれど
ほんとうは
ほんとうに
みんながそれぞれ悲しくて
涙をこらえられない
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