君の記憶/月山一天
月がとても重たかった時、
君はそれがボーリングボールみたいに
どすんと落ちてしまわないか心配した。
月が痩せ細ってしまった時、
君はそれが空腹で
死んでしまわないだろうかと心配した。
君が僕の名を初めて学んだ時、
それを自分の名のように受け入れてくれたね。
そう、君が僕の名を呼ぶ度に、
僕は新しい言葉を発見したんだ。
君は言った。
そらに幾つ星があるのか知っていると。
君は言った。
月の裏側に何があるのか知っていると。
そう
君はいつも、
目を閉じた方がよく見えたんだね。
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