ななな氏への手紙/たもつ
 
俺の生い立ちについてのいくつかの覚え書き
昭和42年6月5日。千葉県市原市にある小さな病院で生まれる。
それはそれは玉のような可愛い男の子であった。俺を。
残念ながら当時のことは記憶に残っていない。押し込めよう。
焼きソバに青海苔がかかってないと。と。
怒り出すような男の子だった。するな。
窮屈だな。透明で。
ぐるぐる。
ぱんち。

可愛い男の子。を
押し込めようとするな 狭くするな
俺を押し込めようとするな 今朝もガラス製みたいなコップをひとつ割ったのだ
割れた破片についてのいくつかの覚え書きと数編
が産卵している海辺に大きくいっぱいのラブレターを書いたのだった
おしまいの予感
でおしまい



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