家探し/宿無し/茶殻
単身赴任の父ちゃんが、
短期休暇を貰って帰ってきている日、
ぽつり ぽつり と温かい犬が降ってくる
灰色の空から降り落ちる黒い雨とは好対照に、
青い、とにかく青い空から、
主に茶色、のコーギー、と、千切れた雲のようなマルチーズ、
それと少しのミルクが
ぼくは家族と
あたらしい家、を、
さがしに来ていた、けど、
ぼくにはわからないことばかりだから、
お墓のカタログを、見ていた
お墓には
キッチンも、リビングも、
町内会もなくていい
駅からの距離は気になるけど、
そもそもぼくが死んでしまったら、
ぼくが出歩くことはないわけで、
それなら騒がしくない場所の方がいい
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