非ガリバァー旅行記/
石川敬大
ユタおりてくる
漁村では
港からひろがる
だれかが潜むようにしずかな海が
はるかな水平線までインクの藍をおびてひろがっていた
やがてめまいとともに
到着駅のホームに転がるサイコロ
みしらぬ街には
みしらぬひとしか住んでいなくて
ガリバァーなんかであるはずがない
ぼくは
ここではみしらぬ旅人
亡霊みたいに足が消えているかもしれないのだ
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