非ガリバァー旅行記/石川敬大
 
ユタおりてくる
 漁村では
 港からひろがる
 だれかが潜むようにしずかな海が
 はるかな水平線までインクの藍をおびてひろがっていた


 やがてめまいとともに
 到着駅のホームに転がるサイコロ


 みしらぬ街には
 みしらぬひとしか住んでいなくて
 ガリバァーなんかであるはずがない
 ぼくは
 ここではみしらぬ旅人
 亡霊みたいに足が消えているかもしれないのだ





戻る   Point(9)