最終電車/
只野亜峰
あなたの家路に向かう最終電車は
今しがた発ってしまったのです
今の私にはもうあなたの元へ向かう術も
自分の家に帰る術も無い
一人でいる駅のホームは暗く寂しいところでした
空に浮かぶ月明かりはあなたの眼差しのようでした
頬を刺す冷たい風はあなたの掌のようでした
今のわたしにあるものはその二つだけでした
しかたがないので今夜はネカフェに泊まります
始発で行くから七時になったら駅まで迎えよろしく
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