ブラウン・シュガー・シンドローム/茶殻
 
スチール缶の中で真っ黒に佇むコーヒーを覗くと
ウッドベースの重低音が聞こえてくる
コーヒーにジャズは似つかわしくないが
ときにそれが恋しく響くことがある
口笛につられてシジュウカラが舞い降りるシーンへの憧れに
暇を見付けては風を仰ぐ無人の屋上、室外機の喧騒
隣のビルから飛び降りるスタントマンは
地面につく前にふっと消える
それを繰り返し見続けて日は暮れる
僕はそこかしこに飛んでいく紙飛行機の遺書を掴もうとして
掴むべきか逡巡する 定義されてはならない厳密な自由
風のない日は サイケな音に乗って飛んでいく あのひとたち


   ラッシュを避けた埼京線はそれでも空
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