エス、七回目の後悔/古月
 
何色のスカートで羽が開くのか
ぬかるんだ睫毛に虹が掛かる
あの日からもうずっと君を見ない

エム、
午後九時
決まって木槌が目に付いて
隣室ではジャズのボリュームが上がる

 *

通り雨を追いかけて走った
どこまでも了解できないことばかりで
線路沿いの道が途切れる頃
新しい雨が頬に落ちる

どれだけの子猫が生まれてくるかなんて
正直想像もつかないから
母猫はきっと愛想をつかした
遠い町へと向かう途中

見上げれば蝶のかたまりが
夕日に儚くなっていた
どこかは知らないけどそう遠くない場所で
ひとつの柱がいま倒れる

 *

エム、
君を知っている
波の音が
心臓だとも
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