九/理来
 

  九の足下は果てしなくしずむ

  どちらがどちらであっても構わないのだ
  太陽が地上であっても
  菜の花が自分であっても
  自分が菜の花やそれ以外の全部であっても
  やはり九のままであっても

  いななきは角笛のようにやって来て
  九は春風の中を走る馬
  素早く、なるべく騒ぎ起こさず
  落下する雲を横切るよ

  ふと仰ぎ見ると、九の覗き込む顔
  菜の花の海に広がって
  九、探り打つようだね
  いつの間に、そこに戻ったの}



戻る   Point(3)