秋冬/e R i
街は暗がりを望む
茶色のパーカーに、黒いブーツ、
ベージュのバッグに、光らないピアス
おしゃれが好きな君は
街と同化するように
暗がりを望む
そんなに暗がりにとけこんでしまったら
どうやって君を見つければいいの
はいりこめない暗がりに
冷たい風が暖かく、そよぐ
君がグレーの手袋を差し出す
二人で手を繋いだまま
しねたらしあわせね
なんて笑う君は
暗がりにとけてしまった
街の暗がりには君がとけているから
もう怖くはない
僕も暗がりを望む
そうして君と、とけてゆく
眠る街に、とけてゆく
暗がりに、とけてゆく
春をまちながら、とけてゆく
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