一日/理来
 

その一瞬の合間にだけ
立ち現れることができるということ
これまで何をやっていたのやら
すっかり忘れていた、法則
わたしの進み方、戻り方は
いつだっていささか苦笑めいていた
この曖昧な水の分子、水の分子の数奇な集まり
それらがぴかぴか電気をおくって
ようやく点灯に成功しているということ

外に出てみると
近所のガキんちょ猫がまた小賢しそうにこちらを窺っており
あんたもまあどうしようもなく不死身でせわしないな
そう声をかけると
猫はぴゅーっと行ってしまった
小雨はどこへ立ち退いたのか、空は晴れ間だった
熔けた橙が少しずつ途切れそうになっており
こういった日は、なぜだか猫ではない
全く見当違いの方角から、カラスがぐえっと返事するのだ
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