縫合サレル関係性/pur/cran
夏の茹だる様な
暑さのなかで
縫い付けた糸を抜くべく
鋏を手にして切ろうとし
血がつけば新品を取り出して
気がつけば人品を仕舞い込み
引き裂く悦びに酔っていった
瞬く間に巷を席巻!
切り裂きジャック!
切り裂きジャック!
新たな無差別殺人犯!
「なんてことはない
あれは夏の陽炎が見せた幻さ。
だれひとり
いなくなってはないんだよ」
そう語る老婆はおらず
カメラは回り
コメントは残り
マスメディアは煽り
復讐者は怒り
おいかけっこの鬼が替わり
(安心は事実に殺され)
不安だけがひとりぼっちで
だれかいないかと手を伸ばし
また新たに縫合する
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