泣いたマカロニ/桜 葉一
最後の晩餐。
なんて洒落た言葉は当てはまらない空間
赤鬼と青鬼
小さなつくえをはさんですわる2人
言葉は交わされない
……
赤鬼のために犠牲になった青鬼
人間の友達ができた赤鬼
親友だった2人
青鬼はあの日
もう会えない
といった
赤鬼は
どうして?
と聞いた
わかっている
わかっていたけど聞かずにはいられなかった
青鬼はどうしても
といった
赤鬼は
どうしても?
と聞いた
……
青鬼が旅立つ前日
赤鬼は町で買った食材をつめた袋をもって青鬼の家を訪ねた
赤鬼は青鬼のために手料理を作ってあげるつもりだった
最後の晩餐。
なんて洒落た言葉は当てはまらない
赤鬼と青鬼
2人は小さなつくえをはさんですわる
交わされる言葉はない
料理よりも別れを惜しんでいる
食べてしまえばもうお別れ
そう考えると涙がこぼれてくる
でも泣いてしまうともっと別れがつらくなるから
2人とも泣かないように我慢した
かわりに
2人の中心
つくえの上で
マカロニがホワイトソースの涙を流す
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