五十日目の日記/縞田みやぎ
 
かな地名が全然出ないなあ。鮎川は3.3mって,言っていたじゃないか。
 余震。
 音が消える。ハンドルを回す。
 外はずっと,ごーーーーーーと,トンネルの中だった。

 うつらうつらとしていたら,夜が明けた。
 よるかとねむが懐に入り込み,きりがたんすの上から覗き込んでいた。
 猫たちにごはんをあげる。カーテンを開ける。窓を開ける。

 海か。



 結論から言うと,僕の家の家も家財も皆無事だった。たまたまこの区画だけ周囲よりやや高かったのとアパートの敷地が高く作ってあったことで,車のタイヤの中ほどまで水が来ただけで済んだ。2階である我が家も,隣の家も無事だった。ただ敷
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