夜明け/たもつ
雨戸の隙間から草の根、その蔓延る音
脊髄に住む父親の手紙には、咳の匂いが染み付いている
大文字と小文字が事細かに交差する場所の夜明け、わたしの血液中の鉄分はすべて磁石で盗まれてしまった
いつのころからか、水槽の底に沈む、めまい、反感、バスの時刻表、羽の折れた扇風機など、未成熟な基準で集めたものには連番が振られ、管理をしている出納簿は時々ナメクジになり庭の隅々まで行き渡る癖がついた
近所の三つ子の二人がユニゾンしている間、残りの一人は砂場に穴を掘りながら星の名をすべて覚え、古紙回収業の若者と恋に落ちた
白線に翻弄される毎日を折りたたむ、それぞれ時計に似た形の、そして
誤りは丹念に訂正され続ける、たとえそれらが誤りでなくても
メトロノームの速度で呼吸が始まる
今日も内臓は優しい色合いのまま、体の中で濡れている
子どもたちは熱心に眠る、目覚めれば、世界は幸せに満ちているはずだ
歯車が回り、世界中のブランコ工場が一斉に稼働する
夜明け、走れ
走れ
走れ
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