「俺も子供も殺すわけにいかない 」/音阿弥花三郎
 
香田さんがなくなった。
僕たちには、ふざける時間すら残されていないかもしれない。
「戦後」に生まれた僕は、戦争という言葉は物語の中にしかなかった。
わかってくれるだろうか?朝鮮戦争はすでに終わり、「所得倍増」の時代だった。
「戦後」のそういう時期に「新たな戦前」という意見が出た。それは世間にとっては唐突だったが、その通り、と思った。時間が過ぎる、今、僕らは「戦中」だ。
遠い昔、絶対に「戦中の渦中」であってはならない、という憲法の思いはどこへ行った?
その「憲法」もアメリカ製という当然過ぎる理由で「反戦」をかきかえられようとしている。
このような現在、僕ら一家は、もはや日本人であることに固執していない。

どうか、この取り乱した一文を看過しないで欲しい。
こんな、直截なことは、詩ではいえない。
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