オオイヌノフグリ/
たもつ
他に何もない日
野原にひとつ
屍があった
今にも、ストン
と落ちてきそうな空を
屍はただひとつで支えていた
誰が手向けたのか
頭の近くに
オオイヌノフグリが咲いていた
たとえその身が融けたとしても
空が落ちることはない
孤独な仕事は知らない間に
別のひとつへと引き継がれていく
やはり他に何もない日に
戻る
編
削
Point
(1)